まずは自己紹介! ネオトロピカの塚本です。
まじめなことだけが特徴の男がスティックプランツをどう考えたのか
自分のことを書くなんておこがましい感じがします。いい年をして、何を成し遂げたわけでもなく、成功したわけでもなく、どこかの地位に登り詰めたわけでもなく、いまだに落ち着くこともない人間です。
なにかをやり遂げる人間は自信満々でなくちゃならないはずで、どっしり自信を持って生きている人でしょう。そんな人生はどうやら夢のようです。安定した人生をしっかり歩むと、いつか、そうなると思っていたのに、いまだに反対の落ち着かない人生を歩んでいます。
年をとればとるほど、楽になるのかと思っていたのに、年をとればとるほどきつくなると感じている、そんな人間です。ただ、きつくなるのはわかっているけど、逃げるわけにはいかないからと思っている人間です。
そんな人間があれこれ考えて作ったのがスティックプランツです。
壁面緑化、ダム湖のり面緑化からの発想
スティックプランツを最初に思いついたきっかけは、以前の仕事の時にダム湖ののり面緑化を研究していて、特許化することをしていた時でした。
ダムの建設時には、大変な量の基材の洗浄時にでる浚渫土と原石山の伐採時にでるチップの処理が問題になるわけです。そこで、その問題を解決する方法を考えていたわけです。チップは堆肥にすることを考えました。
浚渫土はチップと混ぜて焼成して多孔質の焼成体にして土壌改良に使えるようにしたり、浚渫土から人工ゼオライトを合成する方法を完成して、これらを材料にダム湖ののり面を緑化し、その緑化面を強固に保護する方法を特許化しました。
こんなことをしているうちに、普通の生活の中で、外壁とかブロック塀とかを緑化することができないかなと思うようになりました。
簡単にできる壁面緑化はある?
外壁やブロック塀を緑化する方法を、実際にブロックに用土を貼り付けて、芝の種子を混ぜて、発芽させる方法をやってみました。
発芽はするのですが、たとえば枯れてしまったあと、用土をきれいにはがすことが大変な作業になるし、ブロックが見苦しいから緑化したのが、さらに汚れたブロックになってしまいました。土をブロックに接着剤で貼り付けるには、十分な厚さを確保するのが難しいし、現状への復帰も困難だなと思いました。なかなか難しいと思いました。
普通の人にできる壁面緑化はある?
普通の人が壁面やガラス面などの緑化をするといっても容易ではありません。ちょっと考えても、みずやりや植物をどう固定するのかとか、室内なら汚さないようにできるのかとか・・・さまざまな困難がありそうです。
お金もたくさんかかりそうだし、失敗したあとが大変そうだし、だから壁面の緑化なんて個人ではできないよな・・・と思いました。だから、もっと簡単にできないのだろうかと思いました。永続的な緑化は無理としても、垂直面を簡単に緑化することを楽しむことができればなあと思いました。
そこで器を壁やガラスに貼り付けるといことを考えたのですが、これは、昔からある考えです。新しく考えるなら、何かいままでにないことでと思い、いろいろ試してみると、今までの考えは器の開口部を上に向けるものでしたが、その開口部を水平に向けたらどうかということでした。
実際試してみると、プテリスやヘデラのようなつる性の植物などでは、水平に向けることで植物のボリューム感が増して、植物の存在感が強くなることと、器が隠されて、直接植物が、壁やガラスから生えているかのように見えることに気づきました。これは開口部をいままでとは違って水平に向ける意味があるなと思いました。
水平に向ける難しさ
花器の開口部を水平に向けると、問題はみずやりや中の植物が飛び出したりしないかとか、土がこぼれ落ちたりしないかということがあります。みずやりは、器の中に直接に灌水器のノズルを差し込んで、根の周りに灌水する方法を考えました。
灌水器を工夫して、ノズルが土でつまらないようにして、たとえ詰まったとしても、詰まり掃除用の針を用意するようにしました。これでもまだ、面倒な点があるので、どうしたらいいのか考えました。
植物の根をビニール袋で包んで、開口部を軽く閉めることができるようにすることで、みずもれや土こぼれを無くしました。みずごけで土の表面を覆うことでさらにみずもれ、土こぼれをなくしました。
どう固定するのか
器をどう固定するのかも、問題でした。誰にでもできる緑化としては、やはりインテリアを考えたほうがいいと思いました。そうすると、どこがターゲットになるかというと、ガラス面、壁、扉などを想定しました。そうすると、吸盤、磁石、あとはフックを使って固定する。そんな方法にすることにしました。
主として吸盤を利用することにしましたが、吸盤で安全に取り付けるために、十分な耐荷重を実現するために、1個の花器に4つの吸盤を取り付けることにしました。1個の吸盤で耐荷重は十分でしたが、4つで安定感が増しました。
器の色
なぜか柿渋という素材に惹かれました。スティックプランツの黒色は柿渋と松煙を混ぜたものです。他の色は柿渋と顔料を混ぜたものです。
以前に、マングローブという植物を研究していたことがあって、柿渋にも含まれるタンニンをマングローブも多く持っています。このタンニンのおかげで、マングローブが海岸で海水に浸りながらでも生育できる鍵を握っているぞというのが、僕の持論でした。
マングローブの土壌の中では、地下水中に溶けた鉄が流れこんでくるときに、マングローブの根にあるタンニンがその鉄を上手に捕まえてしまうのです。この時の色は真っ黒で、根が黒く被覆された状態になります。これがタンニン鉄で、海岸の土の中で鉄は少ないだけに貴重なのです。そのタンニン鉄は、海岸で酸素の少ない状態の土の中で発生する硫化水素がマングローブの根を攻撃する時、硫化鉄に変わって、マングローブの根を守っているのです。
タンニンはマングローブの体の中でも、活性酸素を除去する働きをしているはずです。フラバン茶というのは海岸にはえる松から採ったフラボノイドの抗酸化作用に着目したもののようですが、マングローブも過酷な条件で生育するため、活性酸素の除去にタンニンなどが活躍しているはずと思います。
こんなわけで、タンニンは自然素材の良質な被覆材というのが僕の考えで、柿渋になぜか惹かれてしまいます。着色材としては、新しいものの方が使いやすい点もあるのですが、なぜかタンニンに愛着を感じるのです。
器が割れる
スティックプランツは、今のところ、木を素材に使っています。木は生きていますので、割れることがあります。初めの頃は、割れることに対する処置が十分でなかったので、器の中に直接植え込んだ植物にみずやりすると、器が水を含んで膨張し、乾燥してくると収縮する過程で、割れてしまうことが起こりました。
なんとか割れをとめる方法を探さなくてはなりませんでした。その方法を探していくと、考古学で出土した木製品を保護する方法を知りました。・・・・グリコールを木に浸透させる方法です。さっそくこれを試してみることにしました。水で薄めた・・・グリコールに木を漬けて、乾燥したものを加工すると、加工の過程で起こる木口の割れも起きなくなりました。
加工後はウレタンで塗装することで、割れは起きなくなりました。問題があるとすれば、ウレタン塗装の乾燥に時間がかかることです。でも、割れるよりいいので、今はこの方法で処理しています。
植物を簡単に取り替える
最初は器に直接に植物を植え込んでいましたが、いろいろ問題が起きてしまい、考え直さないといけなくなりました。直接植え込んであると、器の内部の塗装がすぐにはがれてしまうのです。
内部がいつも湿った状態が続くので、塗装が浮いてきてしまうのです。それと植物の根から有機酸が分泌されるので、早く器の内部が悪くなってしまうのです。それに、植物がうまく生育していく場合はいいのですが、一度枯らしてしまうと、植物の取替えが面倒ということがありました。
そこで苗木用のポットを新たに作るにはどうしたらいいのか考えるわけですが、金型を作ってやると、お金がかかり、大量に作らないと、つまり、大量に売れる見込みがないと駄目なわけです。とにかく植物を直接植え込むことなく、簡単に入れ替えができるようにする、ただ、お金をかけたくないわけです。
いろいろ探したら、チャック付きのビニール袋が目に付きました。これはいろいろなサイズがあって、安く、少量でも手に入るわけです。また、こういったビニール袋は加工も熱を加えるだけで、簡単に出来る利点がありました。だから、サイズを自分の用途にあわせて作ることもできるのです。こ
れを利用して、取替え可能なプラグ苗を作ることにしました。プラグ苗には、保水性を高め、根腐れを防ぎ、通気性を確保する用土を調合して入れてやりました。これで、灌水は1週間に1回程度で大丈夫なようになりました。植物が枯れても、取替えが簡単で、花器も長持ちするようになりました。
自信を持ってお勧めします
よく、自分が作ったものに自信を持たないと、売れないよと言われます。まったくそうなんですが、私の場合、常に改良すべき点やより良い形とかがあるのじゃないかと、今、出来たものに疑いを持ってしまう性格なのです。
だから、自信満々にお勧めしますと思えたことがありません。その時々で最善の努力をしても、やっぱりもっといいものができるのではと思ってしまうのです。
ネオトロピカ 塚本 剛正
有限会社 Neo Tropica ネオトロピカ
〒511−0287
三重県いなべ市大安町中央ヶ丘1丁目2971番地45
電話/0594−78−1539
FAX/0594−78−1539